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さわやかな印象の若い男女が微笑んでいる表紙は青春小説を思わせます。
ところがどっこい、中身は気鋭の哲学者が、おそらくは若い世代向けに書いた哲学的幸福論人生論ユーモア論です。

人間は考えることが苦手だとか、何が正しいのかはどうやって判断するか等々、哲学的屁理屈を読むと脳みそがリフレッシュされるようであります。

この本でもっとも重要なのは、第五章のユーモアについて。
どうやって笑うか、と論じています。
笑うなんて普通に「おかしかったら笑えばいい」、ということでは済みません。
少なくとも、「お菓子買ったら笑えばいい」、なんていう単純な問題ではありません。

著者自身がユーモアエッセイを多く書いていますから、ユーモア論に関してはエキスパート。
本の帯からして「この本を読めば、幸福にはなれませんが、不幸になる可能性はだいぶ減ります。たぶん。」とユーモアに溢れたものです。
これが実用書だったら、絶対に売れなくなるであろうこと必至というような文言。
「この本を読めば試験に受かるということはありませんが、不合格になる可能性はだいぶ減ります。たぶん」
こういう帯を巻いた受験参考書を買いたいですか?

さて、ユーモアに関してですが。
おそらく日本人のほとんどはユーモアのセンスがない。あるいはユーモアを勘違いしている。
テレビでお笑い芸人が奇声を発したり他人の揚げ足を取るのをみて笑うのがユーモアだと思っている節がある。
(「お笑い芸人」と書いたが、彼等の悪ふざけは「芸」とも思えないし、連中が芸人とも思えません)

だからテレビを観て笑っている人でも、日常生活で冗談を言われると「ふざけるな」とか「真面目にやれ!」と激怒する。
日常生活にこそユーモアが必要であり、非日常的な緊急事態には余計にユーモアがあってしかるべきなのだ、
自分が困難に直面している、困っている時にこそユーモアの精神でもってこだわりから解き放たれることが必要なのだ、
と著者は主張します

進級できなくて留年したときには、こう言おう。
「もう一回修学旅行に行けるぞ」
卒業できないときは、こう言える。
「この制服はまだそんなに痛んでないから捨てるのはもったいないからね」
就職先が見つからないときでも、こうは言える。
「就職活動を二回もやったらベテランだ。何かアドバイスして欲しいことはあるかい?」

ものごとは考えようなのだ。

そんな上段に列挙した冗談じゃ笑えないよ!とおっしゃる方があるでしょう。
それで正常です。

ユーモアとは、自分が笑ったり、相手を笑わせるためのものではありません。
日本人的解釈によるユーモアでは、「笑いを取る」とか「ウケる」ということを重要視します。
だけど、ユーモアとは笑ったり笑わせることに意義があるワケじゃない。
事態を客観視して、直面している困難に対して冷静になるための、束縛から自由になるための武器なのです。

実際、窮地に陥ったイギリス人はユーモアのある発言をするものの、それで笑ったりはしないそうです。
有名な事例として、第二次世界大戦の際にイギリスがドイツに海上封鎖を受けたことを伝える新聞の見出しがあります。
「ヨーロッパは孤立した!」
この新聞を見て笑ったイギリス人はいないらしいです。
孤立したのはイギリスの方なんですから笑っている場合じゃない。
ですが、そういう危機に際してもユーモアを武器にして冷静になろうとしています。

だから、テレビに出てくる「お笑い芸人」と呼ばれる連中の悪ふざけを観て笑うことはユーモアとは呼べない。



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